宿りせし人の形見かフジバカマ
平安時代の歌人、紀貫之が詠んだのが「宿りせし 人の形見か 藤ばかま 忘られがたき 香に匂ひつつ」なる歌。
フジバカマそのものは、その場にはないようです。そこに泊まっていたどなたかが旅立たれたあと、フジバカマの香りが漂っているという内容で、秋の七草としてのフジバカマの存在感が浮かび上がっています。
平安時代の歌人、紀貫之が詠んだのが「宿りせし 人の形見か 藤ばかま 忘られがたき 香に匂ひつつ」なる歌。
フジバカマそのものは、その場にはないようです。そこに泊まっていたどなたかが旅立たれたあと、フジバカマの香りが漂っているという内容で、秋の七草としてのフジバカマの存在感が浮かび上がっています。
水引とは、結婚式の時に出てくる封筒や贈答品にかかっている組み紐のことです。その水引と同姓同名なのがこのミズヒキ。似ているように見えませんか? おめでたい花なのかもしれません。
不思議なカタチをした木の実です。不思議なカタチだけど、味は確か。今ごろから晩秋にかけてが、食べごろです。名を、ツノハシバミといいます。
ヘーゼルナッツは西洋のもので、セイヨウハシバミと呼ばれています。それに対して日本製のこちらはツノハシバミ。その木の実に角が生えているみたいだからその名になったのかどうかはわかりませんが、おかしなカタチの木の実であることは確かです。だからこれがヘーゼルナッツの仲間で、おんなじくらいおいしいというのを知らない人も少なくないようです。
数日間しっかり陰干しをして、炒めると香ばしいです。クッキーやケーキにも使います。
とはいえ、今回はたまたま発見しましたが、これまで見つけたツノハシバミは、みんな虫が食っていて、わたしは川内村には虫の食ったツノハシバミしかないのだと思っていましたが、食べられるツノハシバミに出会えて、わたしはうれしい。
なんだか、海のヒトデみたいなカタチをしていますが、これで立派な花です。海藻ではありません。しかもその名を聞いて驚かないでください。これはホトトギスといいます。鳥みたいな名前ですが、もう一回言いますが、これは花であります。
作曲家の杉本真人が歌手・すぎもとまさととして発表した「吾亦紅」(われもこう)は、2007年2月に発売、その年の紅白歌合戦に初出場することになった名曲です。故郷で亡くなった母親への哀歌で、演歌のようなフォークソングのような、すてきな歌です。本日は、そのタイトルであるワレモコウを眺めてきました。
朝昼夕の名前がついた花があります。源氏物語などを読むと、人間にも朝昼夕の名前をつけてもらったご婦人がいるようですが、そういう美しいご婦人にはお会いしたことがありません。わたしが昼あんどんと呼ばれている事実はありませんのでおまちがいなく。
さて今回はヒルガオです。アサガオ、ヒルガオ、ユウガオと3つ揃っています。実はアサガオとユウガオは品種改良が盛んに行われていた花です。それがゆえに、日本の夏といえばアサガオ、というほどにポピュラーになったのかもしれません。
それに対して、ヒルガオは改良されたことのない植物の代表格です。アサガオに比べて、ずいぶんほったらかされた印象もありますが、それが逆に、きちんと種を残す結果になったかもしれません。ヒルガオは万葉集にも登場する花ですが、万葉集の時代の美しさと同じ美しさを、今の時代に見ることができているわけです。
アサガオは1年草(寿命が1年)で、ヒルガオは多年草(冬を越しても枯れずに、翌年また花をつける)というちがいもあります。
似ているようで、アサガオ、ヒルガオ、ユウガオの一家もいろいろなのです。
このへんでは山芋(ヤマイモ)などといいます。学術的にはヤマノイモというのが正しいようですが、ヤマイモと呼ぶところは川内村だけではないような気がします。ジネンジョという人も少なくありません。ジネンジョとは、自然薯と書くんですね。いかにも山の恵、という感じの名前です。
時代は流れます。いつかわたしの命もはかなく消えて骨になって自然に還ることになると思いますが、大自然はずっと昔から、これからもずっと、そんなことを繰り返しています。わたしはまだまた川内村の土に還る気はありませんが、今日はモミの木の大木が時間の流れを垣間感じさせてくれました。
なんで山に入るの?と聞かれますが、そりゃ、四季それぞれにおいしいことがあるからです。そして秋はこれ。サルナシの実や山ぶどうの実が、わたしを待っています。おいしいんです。これが。
サルナシは、川内村のこのあたりではコクアといいます。なんでコクアというのかはわかりません。小さい頃からコクア、コクアと聞いて育っていますから、問答無用です。どうやらコクアとは、サルナシの実のことをいうのだそうですが、はつお少年が受けた川内野山学校の知識では、コクアとはサルナシそのものだったような気がします。
コクア、サルナシの実は、わたしの大好物ですが、わたしだけではありません。クマやサル、スズメバチもこの実が大好物です。最近、サルやクマが人里に降りてくるという話をよく聞きますが、山からサルナシや山ぶどう、ドングリが姿を消していっているという証なのだと思います。
サルナシの実のビタミンCはレモンの10倍! クマもサルも、きっとそれをよく知っているのでしょうね。
ところでサルナシの名前は、そのサルに由来するという説があります。サルがサルナシの実を持って帰って大事に保管しておった。持ち主のサルがそれを忘れてしまったのか、保管されているサルナシを発見した村人がおりました。するとそのサルナシは、見事に発酵して酒になっていたのでした。
それからその実はサル酒と呼ばれるようになり、いつのまにかなまってサルナシになったということです。
今では、サルナシを材料に酒を作るような好き者もいなくなりましたが、ワインを作ったり、サルナシの実をつけて果実酒を作る人はいるようです。
おもしろい形の花を見つけました。これ、クサギといいます。見事な星の形の花をつけます。しかし昔からの花好きには、あんまり好かれていないようです。それが名前に現れています。クサギとは臭木、臭い木、なんて名づけられてしまって、その美しさもかたなしです。
星の形をしたのは花弁で、赤いのががくになります。赤いのと白いのと、合わせてクサギの花ということです。形ばかりでなく、紅白の色合いもおもしろいですね。
さてしかし、このクサギ、いったいどんな匂いがするやら。怖いもの見たさで、いや臭いもの匂いたさで、おっかなびっくり匂ってみたいものだと思いませんか?
しかししかし、葉も花も、くさくありませんでした。独特の匂いがあるということなんだけど、匂いを出す時期があるのやら、それともわたしの鼻がこわれているのか。
匂わないのだったら形の不思議な、美しい花ということでもっと注目を浴びてもいいと思うんですが、かわいそうな名前を付けられたものです。名前をつけた犯人は、いまはどこで、いったいどうしているでしょうか? 現代に生きていたら、クサギの名誉のために、ひと言、物申してあげたいものだと思いますが、大昔の話ですから、かないそうにありません。