川内村観光協会

名は匂いを表さない?クサギ

1308クサギノ

おもしろい形の花を見つけました。これ、クサギといいます。見事な星の形の花をつけます。しかし昔からの花好きには、あんまり好かれていないようです。それが名前に現れています。クサギとは臭木、臭い木、なんて名づけられてしまって、その美しさもかたなしです。

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1308クサギノ

星の形をしたのは花弁で、赤いのががくになります。赤いのと白いのと、合わせてクサギの花ということです。形ばかりでなく、紅白の色合いもおもしろいですね。
さてしかし、このクサギ、いったいどんな匂いがするやら。怖いもの見たさで、いや臭いもの匂いたさで、おっかなびっくり匂ってみたいものだと思いませんか?
しかししかし、葉も花も、くさくありませんでした。独特の匂いがあるということなんだけど、匂いを出す時期があるのやら、それともわたしの鼻がこわれているのか。
匂わないのだったら形の不思議な、美しい花ということでもっと注目を浴びてもいいと思うんですが、かわいそうな名前を付けられたものです。名前をつけた犯人は、いまはどこで、いったいどうしているでしょうか? 現代に生きていたら、クサギの名誉のために、ひと言、物申してあげたいものだと思いますが、大昔の話ですから、かないそうにありません。

ユリの熟女か、静かなるウバユリ

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ユリ科の花でウバユリといいます。よく知られているユリの花とはちょっとかたちがちがいますが、それは属がちがうからなんだそうです。でもユリ科はユリ科。そしてこの名前です。別に年をとっている花というわけではありません。

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このユリは、葉を茎の下の方につけます。そして花が咲く頃には、木の葉が茶色く枯れてしまっていることが多いとされていて、それゆえ葉がないユリとして知られています。そして「葉がないユリ」は「歯がないユリ」になり、歯がないのに色気を発している妖艶なユリということで、姥百合となったということです。
いつごろつけられた名前でしょうか。今なら歯がなくても入れ歯だの差し歯だのいろいろと処置のしようもありますが、昔は歯が抜けたら歯がないままくらしていたのでしょうか。わたしの苦手なインターネットなどで検索してみると、ウバユリの名前は江戸時代につけられたものらしく、そして江戸時代には、もう入れ歯の祖先のようなものは存在していたようです。すごいです。
しかし一方、ウバとは乳母がなまったという説もあります。植物は花を育てるのが仕事。そして育て終わって無事に花が咲く頃、その歯(葉)がなくなってしまうのを、乳母にたとえたのではないかということです。
いずれにしても、この名は「葉がない」ところからつけられたもののようですが、しかし実際には、花をつけたあとも葉っぱが落ちず、枯れてもいないということは少なくないようです。なので昔の人は、この花の生態をきちんと観察して名前をつけたというよりは、しゃれの効いた人のひらめきで、この名がつけられたのかもしれません。まぁ大昔の人がつけてくれた名前です。あんまり細かいことを追求してはいけません。
山に咲くウバユリを眺め、美しいけれどもどことなく静かでひっそりとした印象を感じていただければ、当時の人の気持ちも少しはわかっていただけるのではないでしょうか。
それにしても、花はやっぱり女性のものですね。歯の抜けたジジイを連想されて、この物静かなユリをジジユリなどと命名されなくてよかったと思います。

1308ウバユリ

男らしきはオトコエシ

1307オトコエシ

世の中にはオトコとオンナがいて、仲良くしたりけんかをしたりしながら、回っています。そしてまた、草花の世界でも、オトコとオンナいるのです。ニッポンの実社会ではとかく女性は男性に比べて立場が弱いと問題になったりいたしますが、お花の世界では、どうも女性の方が立場が強いような気がするのですが、わたしの気のせいでしょうか。わたしの家庭内についての立場は、詮索しないでください。

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オトコエシは男郎花と書きます。ちょっと隠微な名前ですが、昔ことばでは美男のことを男郎と称したらしいですから、そんなに悪い名前ではなかったのかもしれません。オトコエシと対になる存在がオミナエシです。オミナエシは一般の方にもよく知られていると思いますが、それに比べて、オトコエシはあまり名前を知られていないんじゃないかと思います。オミナエシは秋の七草の仲間ですが、オトコエシはなんでもありません。こんなふうに、オトコはオンナよりさびしい存在のわけです。
オトコエシは、オミナエシに比べると茎ががっしりしていて、少し毛深くて、確かに男っぽいので、その名前の由来もそういうことなんだろうと思いますが、調べてもあんまりしっかりとした記述がありません。オミナエシに比べると、影の薄さが気になります。
この花は別名敗醤と呼ばれていて、置いておくと醤油の腐った匂いを発するからこういう名前になっています。オミナエシはそれでも飾ってもらえるのですが、オトコエシはどうでしょう?
根は漢方薬になるということですが、わたしは使ったことがなくて、なにに効くのかも知りませんでした。どうやら解熱、消炎、解毒にきくそうですが、今度熱を出したらためしてみようと思いますが、生で食べればいいというものではなさそうです。

1307オトコエシ

一泡吹かせたいアワブキ

1307アワブキ

ヤマブキという、色鉛筆にも名を残す鮮やかな色の花がありますがこちらは山ではなく泡。その名もアワブキと申します。ヤマブキが山を吹き散らすわけではありませんが、こちらのアワブキは、その名の通り泡を吹くのでございます。

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しかしただ単に泡を吹くのではありません。枝木を燃やされるとはじめて泡を吹きます。名前も変わっていますが、その泡の吹き方も変わっていますね。変わっているからかみんなの興味がないのか、この花のことを知っている人はほとんどいません。その存在をあまり知られていない植物、それがアワブキです。
花を見れば、小さく可憐な白い花が並んでいます。これが遠くから見ると、泡を吹いているように見えるからアワブキ、という説もあるようですがわたしとしては、燃やすと泡を吹くというほうが衝撃的です。

1307アワブキ

でも山に入って、アワブキに火をつけてまわっちゃダメですよ。アワブキもかわいそうだし、山火事になってしまっては、それこそ山を売っても償いきれないような被害が出てしまいます。火をつけてアワブキに一泡吹かせたいなんて、考えてはいけません。

1307アワブキ

恋しやクガイソウ

130708クガイソウ

うすむらさきいろの、かわいい花をつけます。実はこれ、私の家に咲いているものです。山のクガイソウを探しに行ったのですが、見つけられませんでした。ちょっと時期が遅かったかな。

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130708クガイソウ

この花は、ふつうは標高700メートル以上のところで咲いています。お花の季節は6月下旬から7月中旬くらいまで。この写真を撮ったのは7月8日なので、山の上ではもう少しあとまで咲いていると思ったのですが、ついに見つけられませんでした。なんらかの理由で、もうなくなってしまったのかもしれません。
リュウマチや関節炎などに効くという薬用植物でもありますから、そういう用途に重宝されているのかもしれません。山のあちこちを1週間ほど探したけど、ついに発見できず、そして私のコレクションをご紹介する次第です。私のコレクションは薬にするほど量がないので、リュウマチにお悩みの肩は薬屋さんにご相談くださいね。

ムカデみたいなミツデです

130717ミツデ楓

ミツデカエデ、漢字で書くと三手楓になります。葉っぱが3枚セットになっていて、三手になっているからこの名前がついたものと思われますが、わたしとしては、カエデというところに注目してみたいです。日本全国に分布する木なのですが、川内村では、少なくとも私は、ここ以外では見つけられていません。

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130717ミツデ楓

この木、新芽は赤くて、まるでウルシが出たように見えるんです。これだけを見たら、わたしだったらカエデではなく、ウルシの仲間にしてしまうでしょう。葉の形もそういえばウルシに似ています。しかし花と実を見ると、これがカエデの仲間だというのもうなずけます。なんでも、最近ではカエデの仲間でなく、ムクロジ科という種族に属するとしているらしいです。学術的な話は、私にはよくわかりません。

130717ミツデ楓

見に行ったのがちょっと遅くて、花の時期は過ぎていました。そして実が実っていましたが、こんなのです。虫がいっぱいたかっているようで、びっくりですが、これがミツデカエデの正しい姿です。よーく見ると、三対ほどの実がついているのですが、おわかりでしょうか。三つでなく、もっと多かったりもするのですが、これが三手の名前の由来です。

こちらは、福島第一原発20km圏内の居住に制限のある地域ですが、放射線量を計測すると0.238μSv/hと、村内の20km圏外の地域と変わらない数値でした。20km圏内でも、いろいろです。

白昼に咲いた夜の花、カラスウリ

1307カラスウリ

「カラスウリ」。カラスを売っているのではなく、これはウリの仲間です。カラスが好んで食べるという説もありますが、食毒は不食。毒ではないみたいですが、おいしくないということです。ちなみにわたしは、食べたことはありません。

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全国的には、それほど珍しい植物ではないようですが、近ごろは本当に見かけなくなってしまいました。この花はつる性の植物で、これまでは村の河川敷などの木に巻き付いているのをよく見かけたものでした。河川の整備で、びしばしと苅り払われた結果ではないかと思うのですが、残念です。
今日は、このところ村のあちこちでおこなっている道路の除染の風景を眺めていて、写真を撮らせてもらえないかなぁとお願いしたところ、現場の監督さんでは判断できないから、写真は撮らないでほしいと断られてしまったのですが、そんな話をしている最中に、ふと目に留まったのがこれでした。
カラスウリという花は、夜咲くことになっています。この花を昼間見ることができるなんて、しかもまったくといっていいほど村内で見られなくなってしまった花です。なんで除染の写真を撮らせてもらえないのか、なんてことは瞬く間に忘れて、カラスウリのもとに飛んでいったのでありました。
レース状のたいへんに美しい花。こんな花を見ながら晩酌ができたら、さぞ幸せでありましょう。

1307カラスウリ

白雲木の行列

130607白雲木

白雲木と書いて、ハクウンボクと読みます。当地では、6月初旬から6月下旬にかけて花をつけますが、今辞典を見たら、5月からの花、ということになってます。やっぱり当地はちょっと寒いのかもしれません。

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川内村全地域で見かけることができますが、よく見かけるのは、千翁川の中流あたりでしょうか。庭木や器具材などにも使われる木で、若枝の表面ははがれやすいのが特徴です。
という百科事典のようなことはさておき、私はこの花を見て思うのです。なんだか、人が連なって歩いているように見えませんか?頭があって手があって足があります。クリオネってお魚がいますけど、ちょうどあんな感じに見えないでしょうか。私は、もうすっかりそういうふうに見えてしまって、そうとしか見えなくなってしまいました。
白い花が雲のように連なって咲くので白雲木というのですが、私だったら白人木とかと名前をつけてしまうかもしれません。

130607白雲木

出世する金銀花

130617スイカグラ

村のあちこちにあって、それほど珍しい花ではありませんが、私の好きな花のひとつです。都会に行くと、庭にこの花を植えてある家を見かけますが、村ではそういう光景はまず見かけません。村ではこの花のことを知っているのは私だけなのだと思うと、少しうきうきします。私が思っているだけかもしれませんが。

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カズラというその名の通り、つる性の植物です。漢字で書くと吸い葛。葛そのものが木に吸い付くのに、ずいぶんと念押しをされた名前ですが、砂糖が珍しかった時代、子どもたちはこのカズラを吸って、蜜の甘味を楽しんだことから、吸い葛の名前がついたという説もあります。学名はLonicera japonicaといいますから、日本のスイカズラは諸外国のそれとはすこしちがうようです。英語ではJapanese honey suckleで、蜜が多い花の様子を表しています。
別名を忍冬といいます。これも読んで字の如く、寒い冬を耐え忍んでいる様を表現したものです。スイカズラを忍冬と呼ぶことから、忍冬と書いてスイカズラと読む人もいますが、これはさすがに無理があると思います。でもそう読ませてしまうところに、日本の野山の懐の深さがあるのかもしれません。
さて、私が好きな別名は金銀花です。花唇ははじめ白く、徐々に黄色くなっていきます。これを表したのが金銀花という名前です。白から黄色ではなく、銀から金。見事に出世しています。こんな花を眺めながら暮らしたら、ちょっと気持ち豊かになれそうです。

130617スイカグラ

婦人会は花盛り

1306婦人会の花ざかり

川内村では、今川内村お花畑運動が展開されています。今日は村に届いた花々が、各地区の婦人会に向けて出発していきました。
川内村は、第一区から第八区までの行政区に分かれています。各行政区の婦人会のみなさんが、花のお世話をしてくれるそうです。この活動、震災前は毎年やっていたものですが、震災後は2年間ごぶさたでした。今年はお米作りも再開していますが、お花づくりも再開、というわけです。八つの行政区のうち、第八区は下川内の仮設住宅に花壇を造ります。
美しく彩られた花道を通って、川内村に来てみてください。