川内村観光協会

未来を見る桜(ウワミズザクラ)

1308ウワミズザクラ

これは、ウワミズザクラという花の実です。ウワミズザクラは、上溝桜と書きますが、その由来は占いにあるのでした。そしてまた、その実は食用になったりもします。判子やお盆などの漆器の材料になったりもするという、人間の生活に密接な草木が、このウワミズザクラです。

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1308ウワミズザクラ

占いとは亀甲占いのことで、熱したウワミズザクラの木枝を溝を掘っておいた亀の甲羅に押しつけて、根津によってできる新たな亀裂で運命を占うのです。
予め彫られた骨の裏の溝を焼くことから「裏溝」「卜溝」(ウラミゾ)と称されていたようですが、これが変化してウワミゾになって今の名前に落ち着いたということです。桜という名前がついていますが、その花はよく知られている桜とはまったくちがうもので、同じバラ科の親戚ではありますが、ウワミズザクラと他の桜とは、あまり親戚関係が強くないようです。
今回ご紹介しているのはウワミズザクラの実ですが、この実は若い頃には黄色く、のちに赤く変わってきます。塩漬けにして食用にするのは若い実で、アンニンゴ(杏仁子)といっているそうです。いつか自分で加工して食べてみようと思うのですが、夏から秋はなかなかいろいろとほかの食材が豊富で、いまだに実現できていません。
亀甲占いで川内村の将来を占ったら、はたしてどんな未来が現れるのでしょうか?

1308ウワミズザクラ

2年ぶりのすぐそばの白い花

1308そば

2年ぶりに蕎麦畑の写真を撮りました。
川内村では原発事故以来、蕎麦の作付けは見合わせていましたが、今年は2年ぶりに再開しています。
蕎麦の花が咲く時期になって、あちこちで白い花が見られるようになりました。
村内の畑全部を合わせると、ものすごい面積になっているのではないかと思います。
この時期、蕎麦畑を眺めながら、暮れ行く一日を想うのは、なかなかオツなもんであります。

美しき女郎さま咲き乱れ(オミナエシ)

1308オミナエシ

先日オトコエシをご紹介しましたが、オトコときたらオンナです。そしてわたしは、もちろんオトコよりもオンナのほうが好きであります。なんといってもこの黄色の輝き、たまらないではありませんか。

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オトコエシ同様に、オミナエシも漢字で書くと女郎花です。そしてこちらもオトコエシと同様に、美しいご婦人のことをさして女郎と呼称するのが、古い日本の用法だったそうです。
オミナエシの名は、そしてまた「おみな圧し」という意味でもあるという説があります。美女も圧倒する美しさ、という意味の「みな圧倒する」ということですね。同感です。
オトコエシとよく似た草花で、よく似た花をつけますが、あちらは白で、こちらは黄色です。男と女を色にたとえて男性が白、女性が黄色というのは違和感のある方もいらっしゃるかと思いますが、私は黄色が大好きですから、女性が黄色であるというキマリには意義はありません。すばらしいと思います。
女郎花という名前は、平安時代前期にはその名が歌集などに残っていますので、その頃にはすでに女郎花として周知だったのではないかと思われます。
当時は舗装道路もなく、草刈り機もなく、区画整理も環境汚染も格段に少なかったでありましょうから、オミナエシもその美しさを存分に世間に見せつけていたのでしょう。
科学が進歩してその頃にいけるようなことになったら、当時のお花畑をぜひ見てみたいものです。

1308オミナエシ

山奥に釣り船を出す「良師」かな(ツリフネソウ)

1308ツリフネソウ

本日はツリフネソウのお話です。こんな名前を、どの時代の人がつけたのでしょう。見れば、確かに釣り船に見えないこともないような気がします。ツリフネソウを、庭に植えている人もいらっしゃるらしいです。

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1308ツリフネソウ

釣り船といえば、山の渓流で漕ぎ出すものではありません。ツリフネソウが花をつけるのは比較的低い山が多いということですから、その昔(いつの時代だかはわかりません)、海に近いところの山でこの名前が命名されたのかもしれません。
ツリフネソウはまた、吊船草という説もあるようです。帆掛け船をつり下げたかたちに見えるのだそうです。あなたには、どんな船に見えますか?

1308ツリフネソウ

ユリの熟女か、静かなるウバユリ

1308ウバユリ

ユリ科の花でウバユリといいます。よく知られているユリの花とはちょっとかたちがちがいますが、それは属がちがうからなんだそうです。でもユリ科はユリ科。そしてこの名前です。別に年をとっている花というわけではありません。

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このユリは、葉を茎の下の方につけます。そして花が咲く頃には、木の葉が茶色く枯れてしまっていることが多いとされていて、それゆえ葉がないユリとして知られています。そして「葉がないユリ」は「歯がないユリ」になり、歯がないのに色気を発している妖艶なユリということで、姥百合となったということです。
いつごろつけられた名前でしょうか。今なら歯がなくても入れ歯だの差し歯だのいろいろと処置のしようもありますが、昔は歯が抜けたら歯がないままくらしていたのでしょうか。わたしの苦手なインターネットなどで検索してみると、ウバユリの名前は江戸時代につけられたものらしく、そして江戸時代には、もう入れ歯の祖先のようなものは存在していたようです。すごいです。
しかし一方、ウバとは乳母がなまったという説もあります。植物は花を育てるのが仕事。そして育て終わって無事に花が咲く頃、その歯(葉)がなくなってしまうのを、乳母にたとえたのではないかということです。
いずれにしても、この名は「葉がない」ところからつけられたもののようですが、しかし実際には、花をつけたあとも葉っぱが落ちず、枯れてもいないということは少なくないようです。なので昔の人は、この花の生態をきちんと観察して名前をつけたというよりは、しゃれの効いた人のひらめきで、この名がつけられたのかもしれません。まぁ大昔の人がつけてくれた名前です。あんまり細かいことを追求してはいけません。
山に咲くウバユリを眺め、美しいけれどもどことなく静かでひっそりとした印象を感じていただければ、当時の人の気持ちも少しはわかっていただけるのではないでしょうか。
それにしても、花はやっぱり女性のものですね。歯の抜けたジジイを連想されて、この物静かなユリをジジユリなどと命名されなくてよかったと思います。

1308ウバユリ

タデ喰う虫は大好き(イヌタデ)

1308イヌタデ

蓼(タデ)食う虫は好き好きと申します。本日見つけたのは蓼の仲間でイヌタデといいます。蓼を食うとはどういうことなのか、もうしわけございませんが、わたしは蓼を食べたことはありません。

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1308イヌタデ

蓼は、苦くて辛いんだそうです。わたし、食べたことないから聞いた話です。誰かが食べたことがあるんでしょうね。香辛料として使うなんて話もあります。でも、辛くて食えない、というのが蓼食う虫も、の実際かもしれません。こんなに辛いのに、喜んで食べてる虫がいる。世の中にはへんなものが好きなやつがいるんだなぁ、というところでありましょう。
蓼を食う虫は蓼虫というそうですが、蓼虫なる虫は見たことがありません。蓼を食う虫は、カブトムシでもゲンゴロウでもオニヤンマでも、みんな蓼虫にされてしまうのではないでしょうか(もちろんカブトムシやゲンゴロウやオニヤンマは蓼を食べません。念のため)。
そしてまた、今回見つけたのはイヌタデで、イヌタデとは蓼の仲間なのですが、しかし調べてみると、蓼とはタデ科イヌタデ属に属するんだそうで、どっちが親なのかよくわからなくなってきました。
わたしなどは、イヌタデはイヌタデ、タデはタデと覚えているのですが、ふつうの人がタデの種類を見分けるのはたいへんむずかしいものです。植物にはイヌがつくものは多いのですが、なんでイヌとつくのかも謎です。少なくともイヌタデと犬になんの関係があるのか、わたしにはわかりません。
さらにそして、タデといえば実はヤナギタデのことだということで、そしてイヌダテは辛くないのだ、なんて書いてあったりもしますから、だんだんわけがわかんなくなってきました。
イヌタデははたして辛いのか、、ぜひ一度食べてみてください。そしたらあなたも蓼虫の仲間入りです。

1308イヌタデ

ミスセキレイ、マイラブ

1308セキレイ求愛

愛の現場を目撃してしまいました。芸能人は愛の現場をパパラッチに撮影されて問題発覚していますが、今日はわたしがパパラッチです。川内村ラブストーリー、進行中です。いやー、毎日、暑い暑い。

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1308セキレイ求愛

写真、手前は雌のセキレイくんです。向こう側の雄のセキレイさんをじーっと見つめています。そしてこの後、この面妖な雌の視線にまいってしまった雄が、雌のまわりを飛び回って、雌の求愛に応えていくというシーンです。
セキレイさんの魅力に心を奪われたセキレイくん、まめです。努力家です。なかなかこんなシーンには出会えるものではありません。しかもこれ、車を止めて歩き出そうとした、まさにその目と鼻の先でのラブシーンなのです。
この後、彼らのラブシーンは空に飛び立ってからも続きましたが、空での求愛シーンは撮れませんでした。残念。芸能人の方も、パパラッチに追いかけられたら空に逃げるといいと思います。パパラッチ初夫からのご忠告でした。
それにしても、わたしにもこんな時代があったなぁ(そしてふられたという顛末は、ないしょ)。

1308セキレイ求愛

山の華、フシグロセンノウの、赤

1308フシグロセンノウ

鮮やかなオレンジの花。山で見ると、その色合いはひときわ美しく輝きます。
花の名はフシグロセンノウ。川内村には千翁川という美しい川がありますが、残念ながら、そのセンノウ川とこちらのセンノウとは別人だったのでありました。

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1308フシグロセンノウ

花のセンノウは漢字で書くと仙翁です。京都の仙翁寺にたくさん花をつけていたのでこの名になったというのがその名の由来ですが、仙翁寺とは、さてどこだろう。現在、仙翁寺を調べると宮城県気仙沼のお寺が出てきます。京都にはこういう名前のお寺はありません。どうやら仙翁寺は、佐賀にあった幻の寺、ということになっているようです。なんでも、大文字焼きの舞台となる京都市右京区嵯峨鳥居本(さがとりいもと)の曼茶羅山なる山にあったお寺ということですが、お寺のお話はここまで。
この幻のお寺で咲き乱れていたセンノウの仲間で、節が黒いのが今回の主役のフシグロセンノウです。
とてもすてきな赤色で、この花を見つけると、おもわずこちらの頬がぽーっと赤くなってしまいます。
直立した茎を持つ花ですが、近年日本各地で絶滅が心配されるようになりました。苗が育てられて販売もされているのですが、野山の花が減っていくのは、さびしいことだと思います。

1308フシグロセンノウ

ムシに刺されたらオトギリソウ

1308オトギリソウ

おとぎ話は夢を語れそうな気がしますが、こちらはおとぎ草ではなくオトギリソウです。なんとその名前の由来は「弟切草」だそうで、ぶっそうな名前なのです。しかしてオトギリソウは、持っていると便利な薬草です。名前と実態が合わないような気がしますが、それこそが弟切り草と名づけられた由来かもしれません。

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弟切草の名前は、昔々、おそらく平安時代ではないかと思うのですが、その時代に生きた兄弟ゆえだといわれています。その頃からこの草の薬用効果は知られていたということですが、ある日弟が、その効能を他人に教えてしまいました。兄は薬用効果はこの家族だけの秘密だと思っていましたから激怒。なんと弟を切って殺してしまった。それで草の名前もオトギリソウ、というわけです。おそろしいですね。オトギリソウの花言葉は「迷信」「秘密」「盲信」「信心」「恨み」「敵意」 とあります。さもありなんというか、花言葉もぶっそうです。
でも平安時代のその兄弟は、その草のことをなんと呼んでいたのでしょう? 「兄貴、おれはオトギリソウを採ってくるぞ」「おう弟よ、オトギリソウはよく効くからな」なんて会話があったとしたら、切られた弟は誰なんだということになりますが、ややこしい詮索はしないでおきます。
オトギリソウの薬用効果については、わたしも覚えがあります。今から25年ほど前になるでしょうか。わたしもまだ若くてぴちぴちしていまして、商工会青年部などに在籍しておりました。わたしはその副部長です。
ある日ソフトボール大会を盛大に開催しまして、そこに浪江の方が選手として参加されました。その方、缶飲料をお飲みになったのですが、飲んでる途中で打順になったのか、缶をそこに置いてその場を離れてしまったのですね。戻ってきて、ふたたび飲みかけの飲料を飲んだ瞬間、悲鳴が上がりました。なんと缶の中に、ハチがひそんでいたのです。
おそらくアシナガバチだと思いますが、飲もうとしていた口元を刺されてしまった浪江選手さん、いきなり口元が腫れてしまって、たいへんなことになりました。
みんなを川内村にお呼び立てしてソフトボール大会を企画したその副部長として、わたしはあわてました。診療所に搬送しようとかどうしようとおたおたしているとき、時の部長さんは沈着冷静。今でも三瓶スタンドでご健在ですが、その三瓶さんが「ちょっと待ってろ」と家に戻って持ってきたのが、オトギリソウの焼酎漬けでした。それを腫れてしまった口元に塗ると、なんだか痛みも引いてきたというではありませんか。ハチに刺されたのは午前中でしたが、午後4時に大会を終了する頃には、腫れは半分くらいになっていました。その後浪江のみなさんはそのまま会津にでかけて一泊するということで、心配性の私は会津のお宿に電話をかけてご様子伺いをしたのですが、なんと夜になったらすでになんでもないというではありませんか。
小さい頃から植物が好きで、図鑑ばかり見ていたわたしですから、オトギリソウが薬草として有効だというのは知識では知っておりました。しかしそんなにまで効くとは、正直思っていませんでした。図鑑を信用していなかったのですね。それからわたしは、オトギリソウには足を向けて眠れなくなりました。
根っこから葉っぱまで、草を全部、焼酎につけ込みます。だいたい1升瓶だったら3本ほどつけ込めば、効能も確かだと思われます。つけこんだその明日にはまだ効能を発揮しません。1ヶ月つけ込めとか3ヶ月つけ込めとか諸説ありますが、悪くはならないので、そのままずっと置いておけばいいのです。
多年草ですから、庭に植えておけば、ちゃんと増えていきます。でも近ごろはみなさん庭に植えたりすることはしないようで、かといって山でこれを見つけるのはむずかしいので、薬屋さんで虫刺されの薬を買うという結末になるのだと思いますが、わたしはこの25年間、ひたすらオトギリソウのお世話になっています。

1308オトギリソウ

桑しいお話

1308桑の葉

桑という木があります。この実がおいしくておいしくてたまりません、なのですが、木だから葉っぱがあります。今日はこの葉っぱのお話です。なんとも不思議な話なのであります。

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最初の写真でご紹介したのが、桑の葉です。シソの葉に似た感じですが、シソの代わりにはなりませんが、桑の葉は近年、なかなか人気の健康食品のようです。わたしは葉っぱを食べたことはまだありません。
ところがしかし、この同じ桑で、ちがう形の葉っぱがあります。

1308桑の葉

これがそのもう一つの葉っぱ。まったくちがう形をしていて、しかも同じ桑の木の葉っぱだというのですから、びっくりです。さっきの葉っぱはシソの葉みたいですが、こちらはジグゾーパズルみたいですね。みなさんは、桑の葉が2種類あるのを、ご存知ですか?
わたしが見るところ、どちらかというと、ジグゾーパズルの方をよく見かけるような気がします。若い木はジグゾーパズルの方の葉をつけるとしている文献もあるようですが、ほんとのところはよくわかりません。
よくよく見たら、まったくちがう葉っぱの形だと思っていたけど、シソの葉に切れ込みを入れて、切り口をちょっととんがらすと、ジグゾーパズルの形になるような気もしてきました。
下の写真は、ジグゾーパズルの方の葉っぱを撮ったものですが、うしろのほうにシソの葉のほうの葉っぱもありますね。こんなふうに、同じところに切り込みがあるのとないのとが共存していることもあるんです。不思議です。
なんで切り込みがあるのとないのがあるのか、あるとなにがよくて、ないとなにがよいのか、詳しい人がいたら聞いたみたいところです。

1308桑の葉