川内村観光協会

ただいま除染中。草地の巻

1308草地の除染

本日は、牧草地のある山のほうへ探検に来てみました。
川内村では住宅の除染がほぼ終わって、今は各地の道路の除染をやっています。おかげでわたしも探検に出かけようとしたら、除染中で足止めをくらったり、通行止めでその先へ行くのをあきらめたりしています。除染は必要なことかもしれませんが、除染の必要がなければそのほうがありがたいのは確かです。
住宅や道路については、村や国が発注して業者の人がやってくれますが、農地についてはちょっとちがいます。農地は農家のみなさんが、自分で手をかけて除染します。
ここは村役場からもそんなに遠くないところですが、牧草をつくっているところです。乳牛用の牧草は、人間が食べるよりも基準値が厳しいのだそうです。牛乳の組合の自主的な基準ということで、牛乳の安全を守る姿勢の表れなのだと思います。
ここの草地では、土をひっくり返して、その中に放射性物質を閉じこめるゼオライトという砂のような成分を混ぜ込み、草に放射性物質が移行しないようにしていきます。広大なエリアの作業ですから、たいへん。しかも広いエリアのほんの少しでも基準値を超えるものが出たら、そのエリアは丸ごと草を使えないというきまりですから、先が長い話です。

ぼくもわたしもこうなりたい(ワレモコウ)

1308ワレモコウ

作曲家の杉本真人が歌手・すぎもとまさととして発表した「吾亦紅」(われもこう)は、2007年2月に発売、その年の紅白歌合戦に初出場することになった名曲です。故郷で亡くなった母親への哀歌で、演歌のようなフォークソングのような、すてきな歌です。本日は、そのタイトルであるワレモコウを眺めてきました。

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1308ワレモコウ

このワレモコウ、実は止血ややけど、湿疹の治療などに用いられることがあるといいます。また生け花には必ずといっていいほど使われる花材です。大都会では庭にワレモコウを植えている人が多いですね。わたし、こう見えてもサラリーマン時代がありまして、しばらく都会暮らしをしておりました。なので知っているわけです。都会のお庭のワレモコウ。
ワレモコウの名前は「我もこうなりたい」というはかない思いをこめて名づけられたといいます。残念ながらわたしは、ワレモコウになりたいと思ったことはありませんけれど。

万葉の夏を受け継ぐヒルガオ

1308ヒルガオ

朝昼夕の名前がついた花があります。源氏物語などを読むと、人間にも朝昼夕の名前をつけてもらったご婦人がいるようですが、そういう美しいご婦人にはお会いしたことがありません。わたしが昼あんどんと呼ばれている事実はありませんのでおまちがいなく。

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1308ヒルガオ

さて今回はヒルガオです。アサガオ、ヒルガオ、ユウガオと3つ揃っています。実はアサガオとユウガオは品種改良が盛んに行われていた花です。それがゆえに、日本の夏といえばアサガオ、というほどにポピュラーになったのかもしれません。
それに対して、ヒルガオは改良されたことのない植物の代表格です。アサガオに比べて、ずいぶんほったらかされた印象もありますが、それが逆に、きちんと種を残す結果になったかもしれません。ヒルガオは万葉集にも登場する花ですが、万葉集の時代の美しさと同じ美しさを、今の時代に見ることができているわけです。
アサガオは1年草(寿命が1年)で、ヒルガオは多年草(冬を越しても枯れずに、翌年また花をつける)というちがいもあります。
似ているようで、アサガオ、ヒルガオ、ユウガオの一家もいろいろなのです。

黄色い糸で結ばれている(キイトトンボ)

1308キイトトンボ

最近では、都会の電車の中などでは見たくもないのに見せつけられることも多いと聞きますが、愛するつがいがいちゃいちゃしているシーンは、見ようと思ってもなかなか見られるものではありません。足しげく山通いをしていると、ときどき神様がご褒美に見せてくれる貴重なシーンです。

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舞台となっている葉っぱは、オモダカです。ここにキイトトンボのつがいがやってきました。キイトトンボは、読んで字の如く、イトトンボの黄色いやつです。実は黄色じゃないイトトンボはいっぱいいます。3月ごろから姿を見るようになって、10月ごろまでそこら中に飛んでいるのですが、それは青いのと黒いのです。黄色いのはめったに出会えません。特に最近はめっきり見られなくなってしまいました。
その黄色いのが愛のシーンを見せてくれるのですから、はつお大興奮です。興奮しているのに、気持ちを落ち着かせて、我ながらよく撮ったと思います。
葉っぱに座っているというか寝ているというかしているのがメスです。その上空でホバリングしながらメスに接触しているのがオスです。この状態で、沼に玉子を産みつけます。
よく見ると、オスはメスの頭か首のあたりに尾をつけていますが、交尾というからには尾っぽが重なっててくれないといけないのではないかと思うのですが、本格的な愛のおこないは実はこれから。このシーンは、まずオスがメスの首根っこをおさえつけて、愛を語っているところなのですね。
どうぞごゆっくりお楽しみくださいと、そっと寝室の扉を閉めて立ち去った心やさしいわたしなのでした。

1308キイトトンボ

サルも大好き、サルナシの実

1308サルナシ

なんで山に入るの?と聞かれますが、そりゃ、四季それぞれにおいしいことがあるからです。そして秋はこれ。サルナシの実や山ぶどうの実が、わたしを待っています。おいしいんです。これが。

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1308サルナシ

サルナシは、川内村のこのあたりではコクアといいます。なんでコクアというのかはわかりません。小さい頃からコクア、コクアと聞いて育っていますから、問答無用です。どうやらコクアとは、サルナシの実のことをいうのだそうですが、はつお少年が受けた川内野山学校の知識では、コクアとはサルナシそのものだったような気がします。

1308サルナシ

コクア、サルナシの実は、わたしの大好物ですが、わたしだけではありません。クマやサル、スズメバチもこの実が大好物です。最近、サルやクマが人里に降りてくるという話をよく聞きますが、山からサルナシや山ぶどう、ドングリが姿を消していっているという証なのだと思います。
サルナシの実のビタミンCはレモンの10倍! クマもサルも、きっとそれをよく知っているのでしょうね。
ところでサルナシの名前は、そのサルに由来するという説があります。サルがサルナシの実を持って帰って大事に保管しておった。持ち主のサルがそれを忘れてしまったのか、保管されているサルナシを発見した村人がおりました。するとそのサルナシは、見事に発酵して酒になっていたのでした。
それからその実はサル酒と呼ばれるようになり、いつのまにかなまってサルナシになったということです。
今では、サルナシを材料に酒を作るような好き者もいなくなりましたが、ワインを作ったり、サルナシの実をつけて果実酒を作る人はいるようです。

名は匂いを表さない?クサギ

1308クサギノ

おもしろい形の花を見つけました。これ、クサギといいます。見事な星の形の花をつけます。しかし昔からの花好きには、あんまり好かれていないようです。それが名前に現れています。クサギとは臭木、臭い木、なんて名づけられてしまって、その美しさもかたなしです。

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1308クサギノ

星の形をしたのは花弁で、赤いのががくになります。赤いのと白いのと、合わせてクサギの花ということです。形ばかりでなく、紅白の色合いもおもしろいですね。
さてしかし、このクサギ、いったいどんな匂いがするやら。怖いもの見たさで、いや臭いもの匂いたさで、おっかなびっくり匂ってみたいものだと思いませんか?
しかししかし、葉も花も、くさくありませんでした。独特の匂いがあるということなんだけど、匂いを出す時期があるのやら、それともわたしの鼻がこわれているのか。
匂わないのだったら形の不思議な、美しい花ということでもっと注目を浴びてもいいと思うんですが、かわいそうな名前を付けられたものです。名前をつけた犯人は、いまはどこで、いったいどうしているでしょうか? 現代に生きていたら、クサギの名誉のために、ひと言、物申してあげたいものだと思いますが、大昔の話ですから、かないそうにありません。

ススキの羽花?

1308ススキの開花

これ、なんだかわかりますか? トンボが羽化するところです。

……といっても通じてしまいそうな光景です。でも残念ながら、これはトンボではありません。ススキなのです。

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1308ススキの開花

ススキの花が、今にも咲こうというところ。これはとっても珍しい、貴重なシーンになりました。ススキの花って、まっすぐ出るんじゃなくて、折れ曲がって出てくるものだということを、このシーンを見て初めて知りました。
はつお、ご自慢。こんなシーン、なかなか見たことのある人はいないと思います。えへん。

あら、まぎらわしきはボタンヅル

1308ボタンヅル

ツルというのは、ターザンが森を移動するのに使う便利なものですが、実際にはツルというのはぶら下がると切れちゃうかもしれないし、あんなことができるわけじゃありません。あんまり役に立たないのに、森の中にはそこここにはびこっていて、森の探検をしたいわたしのような好き者を阻むのです。そしてその大半は、このボタンヅルです。

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1308ボタンヅル

ところがこのボタンヅル。なにかに似ている。それがセンニンソウです。漢字で書くと仙人草。名前からして、高貴な感じがします。このセンニンソウが、ボタンヅルにそっくりです。プロもまちがっちゃうことがあるくらいによく似た植物です。
ボタンヅルとセンニンソウのちがいは、葉の形です。葉に切り込みがあるのがボタンヅル。切り込みがないのがセンニンソウ。花だけ見ると、おー、センニンソウを見つけたと喜んでしまう、ちょっと罪作りな植物です。
え? 喜んでしまったのはおまえだろうって? そ、そんな失礼な! しかしその件はノーコメントにしておきます。

嫌われっ子世の役に立つクドフジ

1308クドフジ

このへんでは、クズのことをクドフジといいます。川内独特の呼び名かと思ったら、どうもそうでもなさそうですが、福島県以外ではあまり呼ばれない名前だと思います。美しい花で、一度見たらその美しさを忘れることはできません、とわたしは思います。

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しかしこのクドフジ、あまりいい印象を持ってもらってはいないようで、それもそのはず、いろいろな植物にからまります。最終的にはスギでもヒノキでも有用な植物を枯らしてしまうので、ほめてもらえるわけがありません。ぐるりと木にまきつけば、太陽にもあたりにくくなってしまうしで、からまれた木はかわいそうに生きていけないのです。
昨今は、賛否はありますが、除草剤が進化しています。しかしクドフジは、除草剤でもなかなか死にません。だからクドフジなんです。クドは「くどい」「しつこい」という意味で、フジがツルであることを表しています。
こんなやっかいものですが、葛粉は葛餅になるし、根っこは風邪薬になったりします。これが葛根湯です。なんでもはるか昔の万葉集の頃にはすでに薬として登場していたみたいなのです。
クズはクズでも、クドフジはお役に立ちます。そしてやっぱり、美しい。

1308クドフジ

アートしてます。川内の田んぼ

1308田んぼアート

今、川内村ではこんな風景が見られます。よその地域では田んぼアートとしてけっこう観光名所になっているところもあるようですが、こちらはひっそりとアートしています。川内村では、なにごともつつましやかなのです。

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1308田んぼアート

なにが表現されているのか、わかりますか? これは川内村の名所、天山文庫方面から撮ってみました。田んぼアートは高いところから見ないといけませんが、この田んぼを見渡せる高いところがなかなかないわけで、ちょっと斜めから見ているから、文字が見にくいですね。
ここには字が書いてあって「心平」「天山」と読めます。説明するまでもなく、草野心平先生の「心平」と、心平先生が愛した天山文庫の「天山」です。

1308田んぼアート

田んぼアートは、いろんなお米を田んぼに植えて、いろんな色の稲を育てることで実現しています。近寄って見ると、その色のちがいは一目瞭然。お米もいろんな色があります。これを植え分けるのも、たいへんなご苦労ですね。
田んぼアートは、収穫されるまで見られると思いますから、10月初めまでは見頃といえるでしょうか。佐和屋ガソリンスタンドやビジネスホテルかわうちの裏側の田んぼです。もっとすばらしい観賞ポイントがあるかもしれません。背伸びしたり、ちょっと探してみてください。

1308田んぼアート