川内村観光協会

お薬ニンジンあります(トチバニンジン)

1308トチバニンジン

こういうものが薬になるなんて、発見した昔の人はえらいと思いますが、山の中でこれを見つけたわたしもえらい。栃葉人参といいます。

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1308トチバニンジン

トチバニンジンは朝鮮人参と同じウコギ科の植物ですが、効能もほぼ同じとされています。熱が出た時や胃がおかしなときに使われます。山の幸が薬用になるのを覚えておいても損はないと思いますが、薬屋さんに走ったほうが早いですね。

ムシに刺されたらオトギリソウ

1308オトギリソウ

おとぎ話は夢を語れそうな気がしますが、こちらはおとぎ草ではなくオトギリソウです。なんとその名前の由来は「弟切草」だそうで、ぶっそうな名前なのです。しかしてオトギリソウは、持っていると便利な薬草です。名前と実態が合わないような気がしますが、それこそが弟切り草と名づけられた由来かもしれません。

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弟切草の名前は、昔々、おそらく平安時代ではないかと思うのですが、その時代に生きた兄弟ゆえだといわれています。その頃からこの草の薬用効果は知られていたということですが、ある日弟が、その効能を他人に教えてしまいました。兄は薬用効果はこの家族だけの秘密だと思っていましたから激怒。なんと弟を切って殺してしまった。それで草の名前もオトギリソウ、というわけです。おそろしいですね。オトギリソウの花言葉は「迷信」「秘密」「盲信」「信心」「恨み」「敵意」 とあります。さもありなんというか、花言葉もぶっそうです。
でも平安時代のその兄弟は、その草のことをなんと呼んでいたのでしょう? 「兄貴、おれはオトギリソウを採ってくるぞ」「おう弟よ、オトギリソウはよく効くからな」なんて会話があったとしたら、切られた弟は誰なんだということになりますが、ややこしい詮索はしないでおきます。
オトギリソウの薬用効果については、わたしも覚えがあります。今から25年ほど前になるでしょうか。わたしもまだ若くてぴちぴちしていまして、商工会青年部などに在籍しておりました。わたしはその副部長です。
ある日ソフトボール大会を盛大に開催しまして、そこに浪江の方が選手として参加されました。その方、缶飲料をお飲みになったのですが、飲んでる途中で打順になったのか、缶をそこに置いてその場を離れてしまったのですね。戻ってきて、ふたたび飲みかけの飲料を飲んだ瞬間、悲鳴が上がりました。なんと缶の中に、ハチがひそんでいたのです。
おそらくアシナガバチだと思いますが、飲もうとしていた口元を刺されてしまった浪江選手さん、いきなり口元が腫れてしまって、たいへんなことになりました。
みんなを川内村にお呼び立てしてソフトボール大会を企画したその副部長として、わたしはあわてました。診療所に搬送しようとかどうしようとおたおたしているとき、時の部長さんは沈着冷静。今でも三瓶スタンドでご健在ですが、その三瓶さんが「ちょっと待ってろ」と家に戻って持ってきたのが、オトギリソウの焼酎漬けでした。それを腫れてしまった口元に塗ると、なんだか痛みも引いてきたというではありませんか。ハチに刺されたのは午前中でしたが、午後4時に大会を終了する頃には、腫れは半分くらいになっていました。その後浪江のみなさんはそのまま会津にでかけて一泊するということで、心配性の私は会津のお宿に電話をかけてご様子伺いをしたのですが、なんと夜になったらすでになんでもないというではありませんか。
小さい頃から植物が好きで、図鑑ばかり見ていたわたしですから、オトギリソウが薬草として有効だというのは知識では知っておりました。しかしそんなにまで効くとは、正直思っていませんでした。図鑑を信用していなかったのですね。それからわたしは、オトギリソウには足を向けて眠れなくなりました。
根っこから葉っぱまで、草を全部、焼酎につけ込みます。だいたい1升瓶だったら3本ほどつけ込めば、効能も確かだと思われます。つけこんだその明日にはまだ効能を発揮しません。1ヶ月つけ込めとか3ヶ月つけ込めとか諸説ありますが、悪くはならないので、そのままずっと置いておけばいいのです。
多年草ですから、庭に植えておけば、ちゃんと増えていきます。でも近ごろはみなさん庭に植えたりすることはしないようで、かといって山でこれを見つけるのはむずかしいので、薬屋さんで虫刺されの薬を買うという結末になるのだと思いますが、わたしはこの25年間、ひたすらオトギリソウのお世話になっています。

1308オトギリソウ