川内村観光協会

除染いまだ進行中

1310鍋倉の除染

下川内の鍋倉地区に来てみました。鍋倉は、村で最初に除染で出た放射性廃棄物の仮置き場を作ったところです。仮置き場となったところは、もともとは美しい蕎麦畑でした。
富岡方面から県道36号線を川内村に向かって高度を稼いでくると、割山トンネルという大きなトンネルがあります。海岸部と川内村をつなぐ希望のトンネルだったのですが、このトンネルの冨岡側の南に、鍋倉地区はあります。
このあたりは第一原発から20kmの圏内となっていて、除染は国が直轄でやっています。そしてこのあたりの除染は、確か2度目となります。村内のほとんどの家屋の除染は完了していて、それでも線量がまだ少し高いところは残っているのですが、やり直しや追加の除染についてはなかなかゴーサインが出ないということです。最近では道路(とその周辺20メートル)の除染を重点的にやっているようですが、一部ではここのように宅地の除染もおこなっています。
なんでもない山肌ですが、下草がきれいに苅られていて、庭園でも作るかのようです。樹木そのものは切りません。下草と不要な枝が、きれいに切り取られています。
まだまだ除染の作業車が行き交う光景が日常的な川内村なのです。

損なムラサキアブラシメジ

1310ムラサキアブラシメジ

ムラサキシキブの美しい紫を紹介したのがつい最近だった気がしますが、こちらの美しさも負けてはいません。なぜか源氏物語の主人公たちにはみんな花の名前がついていて、キノコの名前を名乗る(美しい)女性はいませんが、わたしが紫式部なら、ムラサキアブラシメジという美しい女性を登場させることでしょう。

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1310ムラサキアブラシメジ

でもこれが意外に、あんまり人気がありません。本を読むと、このキノコには粘性があると書いてありますが、雨でも降らなければ、粘性を発揮することもありません。ムラサキアブラシメジモドキというキノコもあって、ほとんど区別がつきません。どっちがどっちだかわかんなくなっているうち、いつの間にかとって食べるキノコの仲間から外されてしまったのかもしれません。
キノコ・ハンドブックを持って山にはいったり、キノコに詳しいような人にも、このキノコはあんまり知られていません。なので誰にもとられることなく、山の中で秋から冬を迎えます。
そんな、損なキノコです。

マユミの逸話

1310マユミ

マユミといいます。つい、マユミさんと呼びたくなってしまいますが、真由美さんとかではないので、さんづけとかちゃんづけで呼ばなくても大丈夫です。秋のマユミは、赤い美しく山を彩ります。

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1310マユミ

マユミさんには真由美さんの他、真弓さんという方もいらっしゃいます。こちらの真弓さんは、今回登場のマユミと関係あり。このマユミというのは木なのですが、立派に育ったマユミは、弓の原材料として適切でした。なので戦国時代の昔から、マユミは弓として使われていたんですね。マユミでできた弓はしなやかで強くて、なかなか最高の弓になったそうです。弓の中の弓。ホンモノの弓、真の弓、というわけで真弓です。
花も美しく、赤い実は紅葉後もしばらく残っています。木をじっくり待って弓を引く戦術に通じているのかもしれません。
万葉集には「陸奥の安達太良真弓弦はけて引かばか人の我を言なさむ」などという歌があります。今見ているマユミは、万葉集の時代に福島で育っていたマユミの子孫かもしれませんね。

ヨッツズミという名のガマズミ

1310ガマズミ

果実酒などの材料とする木の実です。焼酎に漬けるとなかなかおいしいのです。
ガマズミの実がほしいけれど、どこにありますか?とよく聞かれたものでした。みんな、この実がほしいのですね。

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ところでこれ、川内ではガマズミというより、ヨッツズミという名前で通っています。ヨッツというのはそのまんま、四つということで、3つに分かれた枝と、もともとの枝を足して四と数えます。ガマズミのガマはどういういわれなんでしょうね。ズミは酢の実だそうです。焼酎につけるとばっちりですが、生で食べると甘酸っぱいということです。でもそれはそれで、その味が好きな人もいるのです。

1310ガマズミ

豊作の俵のようなタアラコロバシ

1310カマツカ

あまり珍しくない、どこにでもある樹木です。カマツカといいますが、これは学名。例によって川内村のみなさんは学名などではなく、自分たちオリジナルの、親しみやすい名前で呼んでいます。

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1310カマツカ

カマツカの木の材はとっても強いんだそうです。天下一品のかたい木ということになります。そしてこのかたい木を、川内村の人はタアラコロバシと呼びます。タアラコロバシなんて、いまどき便利なインターネットで一生懸命検索しても、なにも出てきません。コロバシというのは魚をとるワナみたいな道具ですが、タアラとは長年の間に発音が略されてしまったもので、もともとはタワラだったんじゃないかとわたしは思うのであります。赤い実が、タワラのように見えませんか? わたしにはそう見えます。
地域地域によっていろんな名前があって、草木の名前もほんとうにおもしろいです。

春でも秋でもハタケシメジ

1310ハタケシメジ

黒い石ころみたいに見えますが、キノコです。地下に埋没している木材などから発生します。汁物やごはん、けんちん汁や天ぷらなど、いろんな食べ方でおいしくいただけます。

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川内村では、このハタケシメジのことを草シメジと呼んでいます。川内村だけでなく、比較的広い地域で、草シメジという名前は親しまれているようです。臭シメジではないので、まちがえないでくださいね。
おがくずを捨てたようなところとか、山から切り出してきた木を集積しておいたところとか、そんなところからいっぱい出てきます。
秋だけでなく、春にも出てきますから、春眠暁を覚えずなんて悠長なことを言っていられません。おいしいキノコをとるには、少々の苦労はつきものなのです。

ウスノキのことを川内村では

1310ウスノキ

ウスノキと申します。その名のとおり、臼の木です。赤い実をご覧ください。先端が、持ちつきの臼みたいに、へこんでいます。それでこの木は臼の木になったということです。でも、川内村ではもうちょっと単刀直入、わかりやすい言い方をしています。

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1310ウスノキ

ウスノキのことを川内村ではなんと呼んでいるか。正解は「へそ」です。臼の木もへそも、どちらも実の形からつけられた名前だと思いますが、へそという名前の付け方に、昔の川内村の人々のまっすぐで純朴で、ちょっとばっかり乱暴な性格が想像できそうな気がして、おもしろいと思うのであります。

鳥の巣ならぬテングス病

1310テングス病

これ、なにに見えるでしょうか? 鳥の巣ではないかとお答えになったあなたは、なかなか自然に親しんでおられる。そう、鳥の巣に見えます。でも鳥の巣じゃないんですね。正解は、木の病気でした。

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1310テングス病

テングス病というこの病気は、木の茎や枝が密生してしまう症状です。特にサクラの木はこの病気にかかりやすく、もし発病してしまった場合は、病気になった枝を刈り取って焼却しないといけないという、ややこしい病気です。
高い木の上にできる病気なので、空高くから下界を見下ろしている天狗様にちなんで、天狗巣病と呼ばれています。昔の人も、やっぱりこれはなにかの巣に見えたのでしょうね。

最近毒きのこの仲間入り、スギタケ

1310スギタケ

スギタケと書いて、杉田家とは読みません。お笑いのスギちゃんでもありません。スギ茸です。
昔はけんちん、みそ汁にして食べていましたが、最近ではスギタケは毒きのこの扱いになっています。キノコの方が方針を変えたのか、人間が毒に弱くなったのか。いえいえ、もともと毒性はあったみたいなんですが、スギタケの毒は、体質によってあたったりするそうで、とある体質の人にとっては、胃腸に及ぼす影響がけっこう大きいらしいので、要注意です。
スギタケはササクレ状になっていて、すぐにそれとわかるかと思います。スギタケの仲間のヌメリスギタケというヤナギの木によく出るキノコは、ものすごくおいしいキノコです。もちろんこちらは、体質にかかわりなく、誰でも食べて大丈夫ですが、教訓としてはキノコは食べられるものと毒キノコをまちがえないことですね。あたりまえですが。

麗しやウルシ

1310うるし

「うるし」、ご存知ですよね。さわるとかぶれる、近寄らないほうがいいというんで有名な塗料ですが、その元祖がこのウルシの木です。時節柄、ウルシも実もつけています。

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1310うるし

それにしても赤い。この季節のウルシは、とにかく赤くてきれいです。あんまり美しいので、抱きついて頬ずりしたくなりますが、さすがにそれは冒険が過ぎるので、遠くから眺めておくことにします。

麗しきは、遠くにありて眺めるもの(はつお)