川内村観光協会

黄色い糸で結ばれている(キイトトンボ)

1308キイトトンボ

最近では、都会の電車の中などでは見たくもないのに見せつけられることも多いと聞きますが、愛するつがいがいちゃいちゃしているシーンは、見ようと思ってもなかなか見られるものではありません。足しげく山通いをしていると、ときどき神様がご褒美に見せてくれる貴重なシーンです。

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舞台となっている葉っぱは、オモダカです。ここにキイトトンボのつがいがやってきました。キイトトンボは、読んで字の如く、イトトンボの黄色いやつです。実は黄色じゃないイトトンボはいっぱいいます。3月ごろから姿を見るようになって、10月ごろまでそこら中に飛んでいるのですが、それは青いのと黒いのです。黄色いのはめったに出会えません。特に最近はめっきり見られなくなってしまいました。
その黄色いのが愛のシーンを見せてくれるのですから、はつお大興奮です。興奮しているのに、気持ちを落ち着かせて、我ながらよく撮ったと思います。
葉っぱに座っているというか寝ているというかしているのがメスです。その上空でホバリングしながらメスに接触しているのがオスです。この状態で、沼に玉子を産みつけます。
よく見ると、オスはメスの頭か首のあたりに尾をつけていますが、交尾というからには尾っぽが重なっててくれないといけないのではないかと思うのですが、本格的な愛のおこないは実はこれから。このシーンは、まずオスがメスの首根っこをおさえつけて、愛を語っているところなのですね。
どうぞごゆっくりお楽しみくださいと、そっと寝室の扉を閉めて立ち去った心やさしいわたしなのでした。

1308キイトトンボ

堂々たるギドウ

130710蟻道

蟻のトンネル、見たことがありますか? 蟻が地面にトンネルを掘るのは欲知られていますが、地面ばかりではないんです。これは、コナラの木です。

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それにしても、見事なトンネルです。蟻の姿はひとつも見えません。みんな、トンネルの中を通っています。蟻の巣は地面を掘っていくだけですからトンネルに材料は必要ありませんが、木にトンネルを造るとなると材料が必要になります。その材料は、植物からもらっています。
植物のカスのようなものを蓄えて、口から出る粘液のようなもので固めて壁を作っていきます。ちょうど、ハチがハチの巣をつくっていくのとおんなじようなものです。と申しましても、蟻とハチは同じ種類の生物ですから、ハチにできて蟻にできないわけがない、ということです。
この蟻のトンネルを蟻道といいます。蟻の道と書いてギドウです。
なぜギドウをつくるかというと、敵から身を守るためです。地中に作った巣なら敵から狙われることは少ないですが、木に登っている時には蟻は無防備です。いってみれば、蟻の防空壕のようなものでしょうか。
ただし、すべての蟻がトンネルをつくるかというと、作らない連中もいます。なんでトンネルをつくり、何でトンネルをつくらないのか。その理由はわかりません。なぜかというと、蟻に聞いても、教えてくれないからです。

130710蟻道

波紋、広がる

1308アメンボ

アメンボが、水上をすーいすいと泳いでいます。泳いでいるというより、水上に浮いているんですね。それはまるで、忍者のようです。
知ってますか? アメンボというのは、実はカメムシの仲間です。カメムシというのは、臭虫とか言われて、みんなに敬遠される六角形の虫です。人は見かけによりませんが、虫も見かけによらないものですねー。
そういう話もさておき、今日はこの写真を見せたかったのです。我ながらこの写真はお気に入り。写真もうまいとほめていただけると、はつおは大喜びで木にも登りまーす。

ヒョウ柄の蝶、川内を飛ぶ

1308ヒョウモンチョウ

この日は、チョウによく出会う日でした。自然観察をしていても、収穫がほとんどなくて悲しくなる日もありますし、次から次へと珍しいものが見つかってしまって、とんでもなく忙しくなってしまう日もあります。どちらにしても好きでやっていることですから、文句のあるわけもありません。本日はヒョウモンチョウです。

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1308ヒョウモンチョウ

アサギマダラが飛んでいるのを見つけて喜んですぐ、見つけたのがこのヒョウモンチョウです。お察しの通り、ヒョウモンチョウの名は豹紋蝶です。その羽が豹柄なのがおわかりかと思います。蝶のくせに、なぜ豹柄のファッションが気に入ったのかは、話ができないのでわかりません。都会には、こういうファッションをまとったご婦人が少なくないそうですから、なぜ豹柄なのか、聞いてみてください。たぶんこの蝶も、同じような理由で豹柄をまとっているのだと思います。
このチョウ、絶滅が心配されている種から、比較的多数の個体がいる種まで、仲間がけっこうたくさんいます。あたたかいところにいるもの、つめたいところにいるものがあって、しかし川内村ではなかなか見ることができません。今日はいい思いをいたしました。
しかもこのヒョウモンチョウときたら、わたしの前でじわりじわりと向きを変えてくれて、いろんな角度から写真を撮らせてくれました。最後に目まであっちゃったりして!

1308ヒョウモンチョウ

旅するチョウ、アサギマダラ

1308アサギマダラ

アサギマダラは、旅するチョウです。南の島からはるばる日本までやってきます。その移動距離は、1,000kmとも2,000kmともいわれているようで、小さなチョウなのにえらいなというか、わたしにも羽がほしいというか、やはり自然の力はすごいなと思うのでした。

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1308アサギマダラ

このチョウ、わたしが得た知識では福島県が生存する北限であるとされていたのですが、千葉県ではレッドリスト(絶滅危惧種)に入っているようなので、その数が少ないことにはまちがいないと思われます。
地球はあったかくなっているらしいので、南の島からやって来るチョウチョは千葉県も福島県も飛び越えて、もっと涼しいところで避暑を楽しんでいるのかもしれません。だとしたら、私は言いたい。アサギマダラさんよ、福島県もいろいろあっけど、川内村は涼しいのです。いや、確かにここんところ数日は暑いけんじょ、風通しのいい木陰に潜んでいれば涼しいし、日が陰ったらすーっと涼しくなって寒いくらいです。
ぜひぜひ、お仲間たくさん連れて、川内村においでください。

クモをつかむようなハチ

1307オオシロフベッコウ

これは大発見。オオシロフベッコウがコガネクモを運んでいるシーンに出会いました。はつお、大喜びです。このクモ、別名を狩りクモといいます。大好物が、クモさんです。

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1307オオシロフベッコウ

オオシロフベッコウというのは、背中に(おなかに、と書いてある文献もあります。どっちがおなかでどっちが背中なんでしょう?)白紋があるからこういう名前なんだそうです。フというのが紋のことなんですね。ベッコウというのは艶があるという意味ですが、ふつうのハチは艶がないのが多いんですね。
という名前の話はさておき、ねらうのは、クモばかり。クモさんばかりねらいうちです。クモは自分をねらいにくる昆虫から身を守るために、粘り気のある糸でクモの巣を作っています。しかしオオシロフベッコウはそんなことにはめげません。口から油を分泌して、自分の体に塗りたくって、それからクモ狩りにでかけます。オオシロベッコウの分泌物はこれが不思議、クモの巣にからまれてもくっつかず。自由自在に動き回れるので、クモの巣の防御性能にアグラをかいている主は、あっさりとオオシロフベッコウに刺されてしまいます。
針を刺して殺すのではなく、麻酔をかけて仮死状態にしておいて、それからせっせせっせと自分の巣に運びます。なんとこの麻酔は、3週間くらいも効果を持続するのです。すごいですねー。オオシロフベッコウは巣に運んだ動けなくなったクモに卵を産み付けます。ふ化したハチの幼虫は、クモの体液を吸って大きくなるというしくみです。新鮮な体液を得るために、クモを殺さず、生きたまま持ち帰るという、なんとも残酷なハチですが、これもまた自然界のしくみなのですね。
体液を吸われてしまったクモは、最後にはすっかり干からびてしまうと思うのですが、干からびてしまったクモはハチの巣の中にあるわけで、わたしは残念ながら、いまだオオシロフベッコウのハチの巣を見たことがありません。このハチは、土の中に穴を掘って巣を作るので、なかなか見つけられません。
ちなみに、オオシロフベッコウには申し訳ないですが、この村の古老たちは、このハチのことを便所バチといいます。失礼な古老たちだなぁと思いつつ、わたしも便所バチと呼んでいましたが、村の便所は母屋から離れて外に建っていることが多かったですから、そういうところにはクモも多かったのかもしれません。便所バチも根拠があったのだと思いますが、古老には、便所バチのいわれは聞かないでしまいました。
ともあれ、クモにはお気の毒ですが、貴重なシーンを見られて、わたしは大喜びです。

1307オオシロフベッコウ

巣にコガネクモを運ぶオオシロフベッコウ。ここらへんで見失ってしまいました

オオシオカラとの再会

1306オオシオカラトンボ

40年ほど前、わたしがまだ紅顔の美少年だった時代には、川内村にはいくらでもいたものですが、最近ではすっかり珍しくなってしまいました。久しぶりに出会えて、わたしもうれしいです。オオシオカラトンボ。シオカラトンボに名前も姿もよく似ているけど、シオカラトンボよりもずっと立派です。

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胴が青いので、このオオシオカラトンボは雄だということがわかります。シオカラトンボとは大きさもちがうのですが、しっぽの先まで同じ太さなのがオオシオカラトンボです。
ため池のようなところでしか見かけられないトンボで、このときは、モリアオガエルが卵を産んでいるというので出かけた水たまりのような池の近くで発見しました。
次に会えるのは、いつのことでしょう。

1306オオシオカラトンボ

いと珍しきやヨモギの蟻の巣

2013年7月蟻の巣

蟻というやつは、木を食べたりするので、木造の家にとってはなかなか大敵。甘いものがあると真っ黒になるし、あたたかくなるとたいへんです。なにかいいこともしているのかもしれないですが、私には見つけられないでいます。私と蟻は、そんな関係です。

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ところで蟻といえば、地中に広大な巣を作る昆虫です。なんでも、蟻の巣に溶けたアルミを流し込んだ研究者がいるそうで(残酷!)、アルミが冷えてから掘り起こしてみたら、枝の整った大木のような蟻の巣(の模型)ができあがったそうです。蟻さん、かわいそうに。
そんな蟻の巣ですが、なんと、これはヨモギにつくられた蟻の巣です。どうしてこんなところに巣を作ることになったのか。ぜひ蟻に聞いてみたいところですが、蟻のことばがわからないので、聞けません。残念です。
世の中にはアリ植物というのがあって、アリの生息環境を持った植物があるのだそうです。おー、これがそのアリ植物なのかと喜んだのですが、蟻植物は、主に熱帯にあるものだそうで、夏でも(少しは)涼しいあぶくまにそんなものがあるとも思えません。
さぁ、いったいこの蟻、なにを考えていたのか、暑い夏の日に、ちょっと考えてみてください。

2013年7月蟻の巣

2013年7月蟻の巣

蟻とアブラムシの蜜月

130624蟻とアブラムシ

木の枝に、びっしりたかっているのはアブラムシ。そのアブラムシにさらにたかっているのは、アリさんです。
アブラムシはカメムシ(くさいやつです)の仲間であまりいい印象はないかと思いますが、アブラムシを大好物としているのが、テントウムシさんたちです。特にナナホシテントウムシはアブラムシが大好きです。テントウムシにかかると、アブラムシもあっという間に食べられてしまいます。
しかしこんなアブラムシでも、自然界にはちゃんと友だちがいます。それがアリさんです。アブラムシは樹液を吸って生きているのですが、アリはアブラムシの排泄物に含まれている蜜のにおいに寄せられてやってきます。アリにとって、お友だちのアブラムシを食べにくるテントウムシは敵なので、じゃんじゃん攻撃して、追い払ってしまいます。こうしてアリとアブラムシは仲よく暮らしていけるのです。
アブラムシにたかるアリはそんなに珍しくはないのですが、ご覧のように、こんなにびっしり大群になっているのは、私も初めて見ました。

コナラにリンゴが

1306コナラメリンゴタマバチ

おや、このコナラの枝にぶらさがっているのは、リンゴではありませんか。さては遺伝子でも組み換えられてコナラがリンゴを生んでしまったかと思ってしまった方はいらっしゃい増せんか。残念でした。これはコナラメリンゴフシというものだったのです。

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リンゴではなく、主人公はタマバチです。タマバチが、コナラの枝に巣を作ったものが、このコナラメリンゴフシです。中には幼虫が入っていて、大きくなるまでコナラに居候をした状態で暮らしています。この巣は、ただ幼虫が棲んでるだけではありません。食料倉庫も兼ねています。食料倉庫というか、餌はコナラの葉っぱでして、つまり食料をベースに巣を作っているわけです。おかげで親は、このコナラメリンゴフシを作るまでが子育てになります。子離れが早いです。
このリンゴ、直径は2.5cmくらいです。大きさが知られてしまったら、ちょっとリンゴには見えないかもしれませんが、コナラ・メリンゴという名前を付けたのはわたしではなく、先代の学者さんです。おまちがいなく。大きさを知らなければ、リンゴそっくりに見えませんか? タマバチが、リンゴの存在を知っていたのかどうかは、わかりません。
これは、平伏沼周辺の国有地で見かけました。