川内村観光協会

酒樽の天山文庫

1305天山文庫

川内村には、かわうち草野心平記念館があって、詩人の草野心平が愛した天山文庫があります。晩年の心平先生は、ここに足しげく通い、詩を書き、庭の池のコイをかわいがり、季節を眺めていたものでしたが、ここに、こんな書庫があります。おもしろいかたちをしていますが、これは実は酒樽であります。

草野心平先生が川内村の名誉村民となったのは1960年のことですが、このとき村は、名誉村民となった心平先生に木炭100俵を贈っています。この木炭は心平先生にはもてあますものだったのですが、心平先生はこの礼として、ご自身の蔵書3000冊を村に寄贈することにしたということです。
東京にお住まいの心平先生にとって木炭100俵もたいへんな量でしたが、村としても3000冊の貴重な蔵書もまたたいへんなもので、保管場所を何とかしなければいけないということで始まったのが、文庫建設の話です。
天山文庫の設計は日本建築の権威の山本勝巳氏でした。山本勝巳さんは俳優山本學、山本圭、山本亘兄弟の父で、天山文庫の他、美ヶ原高原ホテルや会津武家屋敷日新館の設計も手がけられました建築家で、独立以前は大林組にお勤めだったということですが、今、除染で川内村を拠点にしているのが大林組ですから、ご縁は不思議なものです。
天山文庫は、やがて村民が一木一草を持ち寄って、労働を奉仕してできあがりました。
文庫設立にあたっては、心平先生の友人が設立発起人として名を連ねていますが、そこには井上靖、金子光晴、唐木順三、河上徹太郎、川端康成、小林勇、高村豊周、武田奉淳、谷川徹三、武者小路実篤、林野四郎、、山本健吉らのそうそうたる名前が並んでいます。
この天山文庫に少し離れて、この不思議な建物が建っています。これは亨保3年(1717年)創業の老舗日本酒メーカー「花春」さんが寄贈してくれたもので、酒樽であります。心平先生より寄贈された本のうちの一部が、こちらに収められているのですが、お酒の好きだった心平先生の天山文庫らしいエピソードだと思います。

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