川内村観光協会

民話・研屋作

1402館山全景

本日は、川内村の民話をひとつご紹介します。これら民話は、川内村村史民族篇(昭和63年発行)に記録されています。まずは下川内の館山公園付近に残されているお話です。写真はすわの杜公園付近から見た館山全景です。お題は「研屋作」。とんやさく、と読むのだそうです。館山の北の方の沢に、研屋作という地名が残されているということです。

むかしむかし、若い男の研屋が川内に来ただど。村にはめんごい娘がいで、その娘ど研屋が仲よくなったど。
したら村の若者が妬いで、研屋を無理矢理山に連れ出して、首だけ出して埋けちまっただど。
そんでこの場所のことを研屋作と呼ぶようになったんだと。

研屋とは、刃物などを研ぐ(とぐ)商売です。包丁やナタなど、刃物を使っている人は多かったと思いますが、刃物の手入れをする人は村には少なかったのでしょうか? このお話に登場するのが研屋さんであるというのは興味深いところです。
「めんごい」とは「かわいい、美しい」という意味です。方言ですが、北関東から東北まで、比較的広く使われている方言です。
「いで」「妬いで」というのは「いて」「妬いて」ですが、語尾が濁るのは、これも方言です。
首だけ出して埋めてしまった、というお仕置きは、どこかで見たことがあります。「精九郎檀とブナ」というお話を紹介したことがありますが、なんだか似たような結末ですね。
研屋はとぎやですが、研屋作はとんやさくと読みます。研屋をとんやと読むのかもしれないし、じいさまたちに言い伝えられているうちになまってしまったのかもしれません。なんでとんや「作」なのかはわからないのですが、もしかしたら研屋をとじこめたという意味の「研屋柵」ではないかという気もするのですが、今となっては確かめようがありません。
ちなみに研屋作という沢がいったいどこにあるのかは、さっぱりわかりません。土地の長老に聞くと「あっちだ」と教えてくれるのですが、連れていってやるという人は誰もいなくて、ひとりで山に入ってもさっぱりわからず。
民話だから、今回は謎のままおしまい、ということにさせていただきます。

緯度37.3272752134352 経度140.83816051483154

コメントを残す