川内村観光協会

石の上にもせん年

1306石の上にも3年

いやいや、千年はたってないだろう、せいぜい250年じゃないかという話もありますが(私もそう思います)石の上にも三年というから、「せ」と「さ」は似たようなもんだと思って、いってまいりました。その名も千翁川の上流域でございます。なにが千年、いや250年かというと、木と石の物語です。

森の木は(森でなくてもですが)種で増えます。種は秋ごろにそこらじゅうにばらまかれるのでが、珍しいことに、この種は岩の上におっこってきました。たいていは、そこで鳥に食べられたりして、木にならずに終わってしまうのがほとんどです。しかしこの種は、運がよかった。

おそらくそこが森の中で、日当たりが少し悪くて、適度に湿気があったというような、希有な条件が揃っていたのだと思います。種は石の上で芽を出し、根を張り、育っていったのです。石を掘るのは、ゴボウ根と呼ばれる大黒柱のような根っこです。ゴボウ根ではなければ直根ともいいます。ほんのちょっとずつ、ほんのちょっとずつ、石に穴を開けていきます。

岩をも砕くといいますが、やがて岩も砕けます。ゴボウ根が穴を開けているうち、水が入ってその水が凍って、ある日(いつごろかは聞かないでくださいね)ぱりっと割れたのではないかと思います。

そして今の姿になりました。ちなみに木はイヌシデです。川内村あたりではシデのことを全部まとめてソネの木なんていいます。岩を真っ二つに裂くように成長した姿が、なんとも美しいと思うのです。

岩を裂いて木が生長する、それはいくつもの条件が合わないと実現しないことではありますが、山を歩いていると、比較的そこここに見つけることができます。そのひとつひとつを見るたびに、はるか昔の日々の木と石の格闘の歴史をおもんばかることができます。森は、タイムマシンのようなところです。

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