川内村観光協会

秀子節が歌う山菜の大王さま

1306シオデ

秋田地方には、秀子節という民謡があります。この秀子さん、どんなに美しい人かと思いきや、実はシオデという山菜の名前なのであります。シオデ、それは山菜の王様、いや王様を越えて、大王さまといっていいと、私は思っています。

1306シオデ

秀子節という民謡、歌詞を見ると「十七八ナア 今朝の若草 どこでかったナア このひでこナア」なんてあります。民謡だけ聞いていると秀子さんを売り買いしているのかと心配になりますが、そんなことはありません。おいしい山菜の売り買いの話だと思われます。

シオデは、山菜の中でも最も遅く出る種類です。以前は道端のそこここで見ることができたのですが、急に姿を見なくなりました。村の人でも、シオデを知っているのは70歳以上の人ばかり。なんでそうなるのかというと、それ以降の人の時代には草刈り機が登場して、道端の草は片っ端から切り倒してしまうようになったからではないかと思われます。この草は、そのへんの草と比べても少し弱いようで、草刈り機で刈られているうちに、すっかり絶滅してしまったということのようです。昔の人は、草刈りをしながらも、道端の草ひとつひとつを手で刈っていたから、ほんとの雑草と山菜の王様の見分けもついたのでしょうね。

今、この王様は山の奥にしかありません。でも食べるなら、山奥のものは旬を見逃してしまって、ついついかたくなってしまってあんまりよろしくない。道端のよく目にするところのものがやわらかくておいしいのですが、残念、そういうところにはもう残っていないのです。

成長して固くなったら食べられないというのは、ちょうどアスパラガスといっしょです。なのでこのシオデのことを、山のアスパラガス、なんて言い方もします。食べてみてまたびっくり。味もアスパラガスとおんなじです。

こんなにおんなじだったら、アスパラガスとシオデは近い親戚なんじゃないかとお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、いえいえちがうのでした。

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