川内村観光協会

葉なしの鬼の矢柄

130708オニノヤガラ

鬼に歯がなかったら迫力半減というか、まるではったりがききませんが、そういうことではありません。ないのは歯ではなくて、葉っぱです。
葉っぱがないから、するすると茎だけがまっすぐ育ってきます。山の中でそんな姿を見かけると、ちょっとびっくりしてしまいますが、彼らにすればそれが自然な姿です。歯がなくては鬼ははったりがききませんが、葉がなくてびっくりさせることもあるんですね。

130708オニノヤガラ

これ、腐生植物といいます。光合成で自分で養分を作ることなく、ほかの植物や動物の死骸などから栄養素をもらって育ちます。だから葉っぱがないんですね。植物にとって葉っぱは、生きるための大事な武器なのですが、それを持たずに生息しているのですから、すごい植物だと思います。
オニノヤガラとは、鬼の矢柄と書きます。矢柄とは、弓矢の幹の部分のことをいうそうですが、まっすぐな棒みたいな茎を矢柄に見立てたということかもしれません。
実はこれ、ランの仲間です。なんでふつうの植物のランと、腐生植物のオニノヤガラが仲間なのか、ちょっと理解に苦しむところでもありますが、どうやら学者さんも植物のDNAとかを調べる前に、その独特の花唇の形状を見て、同じランの仲間にくくられたのではないかと思います。
なかなか見つけられない貴重な花ですが、腐生植物自体が、近ごろどんどん数が減っているということです。この腐生植物というやつ、日の当たるところに植えて水を上げたからといって育つものではありませんから、山で見かけたものを持って帰っても、根付くことはありません。山で見かけたら、山の中でその姿を楽しむのが、貴重な腐生植物の楽しみ方なのであります。

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