川内村観光協会

タマゴタケ豊作?

1307タマゴタケ

鮮やかなキノコには毒があるとよく申しますが、これはまた鮮やかなキノコです。どぎつい色をしているので敬遠される方もいらっしゃいますが、そういう方にはお進めしませんが、美味です。美味だそうですが、実はわたしは食べたことがありません。喰わずきらいというわけです。

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それにしても、今年のキノコは豊作の予感です。通常キノコは8月のお盆過ぎくらいから本格的に季節に入りますが、7月にこんなにキノコが見られるのは珍しいです。この勢いでいくと、秋になったらすごいことになるのではないかと思いますが、どうでしょう。この先日照りや雨降りがやたらと続いたりしたらキノコも育たないので、お約束はしません。
この鮮やかなキノコ、タマゴタケといいます。この形になると面影はありませんが、このキノコが子どもだった頃は、かさの部分がくるっと丸まっていて、それがまるで玉子のように見えるからです。さらにかさを手に取ってみると、ぼろぼろと崩れるのですが、これがまたゆで玉子を崩したみたいに見えます。昔の人がタマゴタケと名前を付けたのは、さてどういういわれなんでしょう?
タマゴタケの根本の袋状のところからキノコを外して(収穫して)袋以外の部分を食べます。食べるそうです。汁ものにすると、たいへんおいしいそうです。
タマゴダケは、テングタケの仲間です。テングタケ自体はたいへんな猛毒で、食べると死んでしまうこともあります。テングタケの仲間で食べることができるのは、このタマゴタケが唯一です。
キノコ豊作の予感の先兵として山に出てきたタマゴタケ。興味があったらぜひ食べて見てください。くれぐれも毒きのことまちがえて食べないでくださいね。

1307タマゴタケ

トチの実はいかにしてトチモチに

130719トチの実

これ、なんだかわかりますか? テニスボールがなっているわけじゃありません。これはトチの実です。
この実を割ると、中に黒い種が入っています。なんというか、クルミそっくりなんでありますが、この種が、トチモチの原材料になります。

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この実は、古代から食用として親しまれてきたということです。しかしいったい、この実が食べられるなどと、いったい誰が発見したのでしょう? 古代人というのはすごい人たちだなと思います。
そのまま食べたのでは渋くて渋くて、とても食べられない。長い時間あく抜きをして、もち米に混ぜて、それで初めておいしいトチモチになります。
わたしらは、そんな食べ方をばあちゃんから教えてもらえますが、初めてトチの実を食べようと思った古代人は教えてくれる人がいないわけですから、さぞたいへんだったと思います。
なんだか、そんな古代人に会ってみたくなりました。存分にあく抜きをしなければ食べられないトチの実は、たいへんにアクが強い果実ですが、トチの実を初めて食べた古代人も、もしかしたらアクが強いやつだったのかもしれません。

クモをつかむようなハチ

1307オオシロフベッコウ

これは大発見。オオシロフベッコウがコガネクモを運んでいるシーンに出会いました。はつお、大喜びです。このクモ、別名を狩りクモといいます。大好物が、クモさんです。

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1307オオシロフベッコウ

オオシロフベッコウというのは、背中に(おなかに、と書いてある文献もあります。どっちがおなかでどっちが背中なんでしょう?)白紋があるからこういう名前なんだそうです。フというのが紋のことなんですね。ベッコウというのは艶があるという意味ですが、ふつうのハチは艶がないのが多いんですね。
という名前の話はさておき、ねらうのは、クモばかり。クモさんばかりねらいうちです。クモは自分をねらいにくる昆虫から身を守るために、粘り気のある糸でクモの巣を作っています。しかしオオシロフベッコウはそんなことにはめげません。口から油を分泌して、自分の体に塗りたくって、それからクモ狩りにでかけます。オオシロベッコウの分泌物はこれが不思議、クモの巣にからまれてもくっつかず。自由自在に動き回れるので、クモの巣の防御性能にアグラをかいている主は、あっさりとオオシロフベッコウに刺されてしまいます。
針を刺して殺すのではなく、麻酔をかけて仮死状態にしておいて、それからせっせせっせと自分の巣に運びます。なんとこの麻酔は、3週間くらいも効果を持続するのです。すごいですねー。オオシロフベッコウは巣に運んだ動けなくなったクモに卵を産み付けます。ふ化したハチの幼虫は、クモの体液を吸って大きくなるというしくみです。新鮮な体液を得るために、クモを殺さず、生きたまま持ち帰るという、なんとも残酷なハチですが、これもまた自然界のしくみなのですね。
体液を吸われてしまったクモは、最後にはすっかり干からびてしまうと思うのですが、干からびてしまったクモはハチの巣の中にあるわけで、わたしは残念ながら、いまだオオシロフベッコウのハチの巣を見たことがありません。このハチは、土の中に穴を掘って巣を作るので、なかなか見つけられません。
ちなみに、オオシロフベッコウには申し訳ないですが、この村の古老たちは、このハチのことを便所バチといいます。失礼な古老たちだなぁと思いつつ、わたしも便所バチと呼んでいましたが、村の便所は母屋から離れて外に建っていることが多かったですから、そういうところにはクモも多かったのかもしれません。便所バチも根拠があったのだと思いますが、古老には、便所バチのいわれは聞かないでしまいました。
ともあれ、クモにはお気の毒ですが、貴重なシーンを見られて、わたしは大喜びです。

1307オオシロフベッコウ

巣にコガネクモを運ぶオオシロフベッコウ。ここらへんで見失ってしまいました

葉なしの鬼の矢柄

130708オニノヤガラ

鬼に歯がなかったら迫力半減というか、まるではったりがききませんが、そういうことではありません。ないのは歯ではなくて、葉っぱです。
葉っぱがないから、するすると茎だけがまっすぐ育ってきます。山の中でそんな姿を見かけると、ちょっとびっくりしてしまいますが、彼らにすればそれが自然な姿です。歯がなくては鬼ははったりがききませんが、葉がなくてびっくりさせることもあるんですね。

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130708オニノヤガラ

これ、腐生植物といいます。光合成で自分で養分を作ることなく、ほかの植物や動物の死骸などから栄養素をもらって育ちます。だから葉っぱがないんですね。植物にとって葉っぱは、生きるための大事な武器なのですが、それを持たずに生息しているのですから、すごい植物だと思います。
オニノヤガラとは、鬼の矢柄と書きます。矢柄とは、弓矢の幹の部分のことをいうそうですが、まっすぐな棒みたいな茎を矢柄に見立てたということかもしれません。
実はこれ、ランの仲間です。なんでふつうの植物のランと、腐生植物のオニノヤガラが仲間なのか、ちょっと理解に苦しむところでもありますが、どうやら学者さんも植物のDNAとかを調べる前に、その独特の花唇の形状を見て、同じランの仲間にくくられたのではないかと思います。
なかなか見つけられない貴重な花ですが、腐生植物自体が、近ごろどんどん数が減っているということです。この腐生植物というやつ、日の当たるところに植えて水を上げたからといって育つものではありませんから、山で見かけたものを持って帰っても、根付くことはありません。山で見かけたら、山の中でその姿を楽しむのが、貴重な腐生植物の楽しみ方なのであります。

恋しやクガイソウ

130708クガイソウ

うすむらさきいろの、かわいい花をつけます。実はこれ、私の家に咲いているものです。山のクガイソウを探しに行ったのですが、見つけられませんでした。ちょっと時期が遅かったかな。

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130708クガイソウ

この花は、ふつうは標高700メートル以上のところで咲いています。お花の季節は6月下旬から7月中旬くらいまで。この写真を撮ったのは7月8日なので、山の上ではもう少しあとまで咲いていると思ったのですが、ついに見つけられませんでした。なんらかの理由で、もうなくなってしまったのかもしれません。
リュウマチや関節炎などに効くという薬用植物でもありますから、そういう用途に重宝されているのかもしれません。山のあちこちを1週間ほど探したけど、ついに発見できず、そして私のコレクションをご紹介する次第です。私のコレクションは薬にするほど量がないので、リュウマチにお悩みの肩は薬屋さんにご相談くださいね。

ムカデみたいなミツデです

130717ミツデ楓

ミツデカエデ、漢字で書くと三手楓になります。葉っぱが3枚セットになっていて、三手になっているからこの名前がついたものと思われますが、わたしとしては、カエデというところに注目してみたいです。日本全国に分布する木なのですが、川内村では、少なくとも私は、ここ以外では見つけられていません。

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130717ミツデ楓

この木、新芽は赤くて、まるでウルシが出たように見えるんです。これだけを見たら、わたしだったらカエデではなく、ウルシの仲間にしてしまうでしょう。葉の形もそういえばウルシに似ています。しかし花と実を見ると、これがカエデの仲間だというのもうなずけます。なんでも、最近ではカエデの仲間でなく、ムクロジ科という種族に属するとしているらしいです。学術的な話は、私にはよくわかりません。

130717ミツデ楓

見に行ったのがちょっと遅くて、花の時期は過ぎていました。そして実が実っていましたが、こんなのです。虫がいっぱいたかっているようで、びっくりですが、これがミツデカエデの正しい姿です。よーく見ると、三対ほどの実がついているのですが、おわかりでしょうか。三つでなく、もっと多かったりもするのですが、これが三手の名前の由来です。

こちらは、福島第一原発20km圏内の居住に制限のある地域ですが、放射線量を計測すると0.238μSv/hと、村内の20km圏外の地域と変わらない数値でした。20km圏内でも、いろいろです。

白昼に咲いた夜の花、カラスウリ

1307カラスウリ

「カラスウリ」。カラスを売っているのではなく、これはウリの仲間です。カラスが好んで食べるという説もありますが、食毒は不食。毒ではないみたいですが、おいしくないということです。ちなみにわたしは、食べたことはありません。

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全国的には、それほど珍しい植物ではないようですが、近ごろは本当に見かけなくなってしまいました。この花はつる性の植物で、これまでは村の河川敷などの木に巻き付いているのをよく見かけたものでした。河川の整備で、びしばしと苅り払われた結果ではないかと思うのですが、残念です。
今日は、このところ村のあちこちでおこなっている道路の除染の風景を眺めていて、写真を撮らせてもらえないかなぁとお願いしたところ、現場の監督さんでは判断できないから、写真は撮らないでほしいと断られてしまったのですが、そんな話をしている最中に、ふと目に留まったのがこれでした。
カラスウリという花は、夜咲くことになっています。この花を昼間見ることができるなんて、しかもまったくといっていいほど村内で見られなくなってしまった花です。なんで除染の写真を撮らせてもらえないのか、なんてことは瞬く間に忘れて、カラスウリのもとに飛んでいったのでありました。
レース状のたいへんに美しい花。こんな花を見ながら晩酌ができたら、さぞ幸せでありましょう。

1307カラスウリ

甘くておいしいニガイチゴ

130710ニガイチゴ

野に咲く小さな果実、野イチゴ、クマイチゴ、そしてニガイチゴ。ニガイチゴとはその名の通りで、苦苺と書きます。つまり苦いイチゴという意味なのですが、さて、なんでそんな名前になったんだろう。私はニガイチゴはとてもおいしいと思います。

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物の本にもインターネットの検索で出てくるニガイチゴについての記述でも、実が苦いからニガイチゴだと書いてあります。みなさん、食べたことあるのかなぁ。食べたことがある人でも、ちゃんと熟してないのを食べちゃったのかもしれません。熟したニガイチゴは、とてもおいしいです。ニガイチゴなんて名前をつけられちゃって、ほんとうにかわいそうです。
山ではまず黄色いモミジイチゴが実をつけます(春に近いうちに実をつける植物なのにモミジとはこれまたいかに?)。その後に出てくるのが、このニガイチゴです。どちらのイチゴも、たいへんおいしいです。私たちが子どもの頃には、学校帰りの絶好のおやつになったものでした。

130710ニガイチゴ

ホオノキ大好き

130704ホウノキ

ホウノキは、でっかい葉をつける植物です。自生している植物の中では、一番大きな葉をつけるのが、このホオノキでないかと思います。トチノキとどっちの葉が大きいかという議論になりそうですが、葉の大きさは葉っぱ1枚1枚ちがいますから、ホオノキに向かっては「あんたが一番」といい、トチノキに向かったときにはやっぱり「あんたが一番」といってあげようと思います。それだけ、葉はでっかいです。

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しかし私が好きなのは、葉っぱだけではありません。私にとってホオノキの魅力は、その実にあります。これぞホオノキの実力、なんていったりして。
葉っぱだけでなく、実も植物の中で最大級です。その長さは大きなもので15cmほどにもなりますが、ご覧ください、バナナそっくりではありませんか。7月中旬から果実をつけて、秋になるとこの実は赤くなって落ちていきます。
私のとても好きな木の実のひとつです。

130704ホウノキ全景

いと珍しきやヨモギの蟻の巣

2013年7月蟻の巣

蟻というやつは、木を食べたりするので、木造の家にとってはなかなか大敵。甘いものがあると真っ黒になるし、あたたかくなるとたいへんです。なにかいいこともしているのかもしれないですが、私には見つけられないでいます。私と蟻は、そんな関係です。

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ところで蟻といえば、地中に広大な巣を作る昆虫です。なんでも、蟻の巣に溶けたアルミを流し込んだ研究者がいるそうで(残酷!)、アルミが冷えてから掘り起こしてみたら、枝の整った大木のような蟻の巣(の模型)ができあがったそうです。蟻さん、かわいそうに。
そんな蟻の巣ですが、なんと、これはヨモギにつくられた蟻の巣です。どうしてこんなところに巣を作ることになったのか。ぜひ蟻に聞いてみたいところですが、蟻のことばがわからないので、聞けません。残念です。
世の中にはアリ植物というのがあって、アリの生息環境を持った植物があるのだそうです。おー、これがそのアリ植物なのかと喜んだのですが、蟻植物は、主に熱帯にあるものだそうで、夏でも(少しは)涼しいあぶくまにそんなものがあるとも思えません。
さぁ、いったいこの蟻、なにを考えていたのか、暑い夏の日に、ちょっと考えてみてください。

2013年7月蟻の巣

2013年7月蟻の巣